エッグタルトの映画鑑賞日記4

エッグタルトの映画鑑賞日記4

こんにちは。エッグタルトです。

今回は『裁かるるジャンヌ』という映画について述べてみたいと思います。

『裁かるるジャンヌ』は1928年にデンマークで初めて上映された
サイレント映画です。
監督はカール・テオドール・ドライヤー。

内容としては大部分ジャンヌ・ダルクのかけられた裁判の様子が描かれています。
戦場で戦う場面は一切ありません。
その裁判の様子も実際には5ヶ月間に計29回行われたものをジャンヌが処刑された5月30日の1日に凝縮しています。
最後には火あぶりにされてしまいます。
顔のクローズアップが多用された内容は退屈してしまいそうなのですが、
不思議と退屈しません。

この映画のすごいところは、聖女ジャンヌ・ダルクを主人公にして
その受難の様子を描きながら、安っぽい神や天使や悪魔は登場せず、
リアリズムが貫かれ人間が描かれていることです。

この作品は映画館でも見たのですが、最初に見たのはDVDでした。
私が持っている『裁かるるジャンヌ』のDVDのカバーには
「無声映画芸術の最高到達点」と印刷されています。
サイレント映画は言うまでもなくたくさんあるので、
これが最高到達点なのかどうかは私にはわかりませんが、
傑作ではあるのでしょう。
ただこの映画はデンマークで公開された後
フランスでカトリック教会のクレームを受け削除改変がなされ、
さらに映画検閲がなされた版がフランスの一般観客に公開されました。
その後まもなくオリジナル・ネガが火災で焼失。
没テイクから第二版を編集したがそのネガも消失。
その後半世紀以上、大幅に改変された不完全版で流通していたのですが、
1984年ノルウェーのオスロの精神病院にあったオリジナル・プリントが
奇跡的に発見されたそうです。
私の持っているDVDはこの完全版からつくられたものだそうです。
フランスの映画監督ロベール・ブレッソンは
この映画に批判的であったそうですが、完全版を見てどう思ったか
知りたいところです。
彼は『ジャンヌ・ダルク裁判』という映画を撮っているそうですが
私はまだ見たことがありません。